17分の1
院長 今野 優 医学博士
昭和38年9月11日 生
平成元年 5月医師免許(第321523号)
平成 8年 9月旭川医科大学学位記(第240号)
平成 8年10月日本眼科学会眼科専門医(第8303号)
2010年 1月 グラフ旭川2月号市民の健康ガイドに「17分の1」が掲載されました。

1.はじめに
 「17分の1」という確率は高いでしょうか、皆さんはどう感じられますか?

 1月24日に発表された年賀状の4等のお年玉切手シートの当たる
確率は50分の1です。当たりそうで、なかなか当たりませんよね。

 40歳以上の17人に1人と言われたら、どうですか?
久しぶりに集まったクラス会、クラスの中に2人か3人いるとすると
多いですよね。

 実はこの40歳以上の17人に1人というのは、緑内障の患者さんの
割合なのです。日本緑内障学会の調査によりますと、60歳代では
13人に1人、70歳以上では8人に1人が緑内障ということがわかりました。


2.緑内障とは
 人はどのような仕組みでものを見ているのでしょうか。
ものを見る仕組みを考えながら、緑内障という病気について
考えてみましょう。

 目の働きや構造はよくカメラに例えられます。黒目(角膜)の
すぐ後ろに透けて見えるいわゆる茶目は虹彩といい、これは目の中に
入ってくる光の量を調節する働きがあり、カメラのしぼりにあたります。
この虹彩の後ろに水晶体という部分があります。水晶体はカメラの
レンズと同じで、私達が見ようとするものを正しく、網膜
(カメラのフィルムにあたる部分)に焦点を結ばせる働きがあります。
網膜に映った像が視神経を通して脳に伝えられ、私達は、初めてものを
見ることができるのです。

 緑内障は視神経がおかされて、見える範囲(視野)が狭くなる病気です。
視神経は100万本以上の神経線維の束で、網膜に映った像を脳に運ぶ、
いわば目と脳をつなげるケーブルの働きをしています。電気器具の
ケーブルが接続部分で壊れやすいように、視神経も視神経乳頭と呼ばれる
眼球からの出口の部分が傷害を受けやすくなっています。視神経乳頭に
傷害を与える一番の原因は、眼球内の圧力(眼圧)と考えられています。


3.眼圧とは
 目には一定の硬さがあります。これは、目の中で作られている水と
出ていく水が丁度つり合っていて、目の硬さをほどよい状態に保って
いるからです。眼圧は血圧と同じ単位(mmHg)で測定されますが、
正常の眼圧は10〜21mmHg です。眼圧が上がることによって、
視神経乳頭の傷害が起こることは解明されており、以前は緑内障と言えば、
眼圧が高いと考えられていました。しかし、日本人には眼圧が正常範囲に
入っていても緑内障になる人が多いことが判明し、正常眼圧緑内障と
呼ばれています。正常眼圧緑内障では、視神経の強度が関係していると
みられ、例え正常範囲内の眼圧でも、その患者さんにとっては負担に
なっていると考えられます。

4.緑内障の症状・検査
視神経がおかされると徐々に消失してしまい、その部分の情報は脳に
伝わらずに視野が欠けてしまいます。しかし、視神経の傷害はゆっくりと
起こり、視野も少しずつ狭くなっていくため、自覚症状はほとんどなく、
知らないうちに病気が進行しているのが緑内障の怖い点です。

 緑内障は、眼圧検査、眼底検査、視野検査などから診断でき、これらは
眼科で一般的に行われる検査です。緑内障は自覚症状がほとんど
ありませんので、眼科受診した際に偶然発見されるということが
最も多いのです。どの検査も、痛くありませんので安心して検査を
受けて下さい。
視野障害の進行イメージ図(右眼視野の場合)
初期:
視界の中心をややはずれた所に
暗点が出来ます。異常を自覚する
ことはありません。
中期:
暗点が拡大し、視野の欠損が広がり
始めます。しかしこの段階でも片方の
目で補われるために、
異常に気付かないことが多いようです。
末期:
視野は更に狭くなり視力も悪くなって
日常生活にも支障を来すようになります。

5.緑内障の治療
 緑内障による視野の欠けや狭まりは、治療で元に戻すことはできません。
治療の目的は、緑内障がそれ以上に進まないようにすることです。
早期に発見し、早くから治療を受ければ、失明に至らず視力を保つことが
できます。治療は視神経乳頭に傷害を与える一番の原因である眼圧を低く
コントロールするということです。

 現在では緑内障治療の点眼薬だけでも10種類以上あり、非常によく
眼圧を下げる点眼薬も出ています。まずは点眼薬による治療が開始
されますが、病状の進行が止められない場合にはレーザー療法、
手術療法が必要になる場合もあります。


6.さいごに
 緑内障は、白内障とならんで壮年期以降の人々にみられる眼科の
代表的な病気です。白内障の多くは、白髪や肌のシワと同じで、
年齢とともに誰にでも起きる変化ですが、緑内障は皆に起きる変化では
なく、目の病気です。緑内障と白内障、名前はよく似ていますが、
全く別の病気です。緑内障は早期に発見し、早くから治療を受ければ、
失明に至らず視力を保つことが出来ます。生涯にわたり目の健康を
保つために、40歳を過ぎたらぜひ眼科での目の検診を受けることを
お勧め致します。
2010.1.25 記