3・7・0方式の視力検査
院長 今野 優 医学博士
昭和38年9月11日 生
平成元年 5月医師免許(第321523号)
平成 8年 9月旭川医科大学学位記(第240号)
平成 8年10月日本眼科学会眼科専門医(第8303号)
2016年 3月 グラフ旭川4月号市民の健康ガイドに
      「3・7・0方式の視力検査」が掲載されました。

 以前の話になりますが、人気テレビ番組「踊る!さんま御殿!!」で
「世代間ギャップを痛感した時」というテーマが取り上げられ、
40代の上司が、「子どもの時、学校健診の視力検査で0.2だった」
という話をしたところ、
それを聞いた20代の後輩に「私はCでした」と言われ、
「??」だったということが紹介されていました。
学校健診の視力結果は、世代間ギャップになっているのですね。

眼科学校健診

 昭和33年に学校保健法が公布され、その後何度か改正されながら、
現在に至っています。眼科に関する定期健康診断は「視力検査」
「眼の疾病および異常の有無」の2項目について行なうことになっています。
このうち視力検査は、眼科学校医自らが行なう眼科健診に先立って
通常実施されており、保健調査とともに眼科健診の予診的検査として
位置づけられています。したがって、眼科健診では「眼の疾病および
異常の有無」のほか、保健調査や視力検査の結果にも注意を払いながら、
必要に応じて積極的に児童生徒へ助言や指導を行なうことになります。


3・7・0方式とは

 学校保健法施行規則の一部が改正され、平成4年4月1日から視力検査は、「1.0」「0.7」「0.3」の3指標で判定してよいことになりました。
視力の検査結果が
1.0以上であるときは(A)、
1.0未満0.7以上であるときは(B)、
0.7未満0.3以上であるときは(C)、
0.3未満であるときは(D)、
と記入してもよいことになりました。


3・7・0方式採用の理由

 目の表面にある涙の大部分は涙腺から分泌される水分ですが、
実はそれだけではありません。
水分の蒸発を防ぐ油分や、 水分を保持する働きのあるムチンという
ネバネバした物質が層となり表面を覆っています。
この水分が減ったり、油分の減少で水分が蒸発しやすくなったり、
ムチンが少ないために水分が保持できなくなるなど
3つの成分のバランスが崩れると、ドライアイの症状が出ると
考えられています。


多彩な症状

 3つの指標のみで視力検査を行なうことになった理由は、
次の5つが挙げられます。
1. 学校の視力検査の目的は、黒板の字がきちんと見えているか、
  学業にさしつかえないか、眼科学校医の診断・指導が必要かどうかを
  判断するために行なわれます。判断の基準としては
  視力0.3=教室の最前列でもこれ以下の視力では黒板の字が見えにくい
  視力0.7=教室のどこからでも黒板の字が一応見える最低視力
  視力1.0=一応健常視力
  が用いられます。
2.  3・7・0方式は授業にさしつかえないかをみる目的に適しており、
  指導も行ないやすい。
3. 視力測定が能率よく行なえる。
4. 視力の細かい変動に子どもたちがこだわらなくなる。
5. 普通免許の視力基準も片目0.3以上、両目で0.7以上となっているように、
  社会的にも日本では0.3と0.7が重視されています。


子どもの視力の揺らぎ

 学童の視力は変動が大きく、いつも一定した値を得ることが難しいと
言えます。一度の視力検査の結果が悪かったとしても、その日の体調、
目の疲れ具合などによって、視力は変動します。
特に学校検診の時の、みんなが一列に並んで騒がしいような中で
検査した場合には、内気な子は視力が悪く出ることもあります。
また、少し目を細めただけで視力はすごく上がります。
視力の良い子どもの視力は安定していることが多いのですが、
視力低下が始まった時期の子どもの視力は特に揺らぎがみられます。
学校現場では条件の違いもあり、0.1きざみで細かく測ることは
あまり意味がありません。学校検診の結果のみで一喜一憂せずに、
視力低下を指摘された場合は、眼科での再検査をお勧めします。


眼の疾病および異常の有無

 眼科健診では、保健調査や視力検査の結果をふまえて
以下の項目をチェックしています。
1. 眼位のチェック:カバーテスト、カバーアンカバーテスト、
  交代カバーテストにより、斜位の有無、斜視の有無ならびに種類を検討。
2. 眼瞼のチェック:腫脹の有無(浮腫・炎症の鑑別)、変色の有無を
  チェック。また、内反・外反の有無や睫毛乱生の有無をチェック。
3. 眼瞼結膜・球結膜のチェック:充血・浮腫・濾胞の有無ならびに
  異物・眼脂の有無をチェック。
4. 角膜のチェック:角膜表面の混濁・傷・異物の有無のチェック。
5. 瞳孔に光を当て対光反応及び瞳孔径の確認、水晶体混濁の有無をチェック。

色覚検査

 学校保健法施行規則の一部改正により、平成15年度から
それまで小学4年の児童全員に実施されていた色覚検査が健康診断の
必須項目から削除されました。
そのため現在、中高生の多くは色覚検査を受けることなく進学・就職と
向き合っており、色覚に係る問題が急増しました。
そのため平成26年に文部科学省から通知がなされ、色覚検査は、
児童生徒や保護者の事前の同意を得て個別に検査、指導を行なうことが
再確認されています。
児童生徒が自身の色覚を知らないまま不利益を受けることのないよう、
保健調査に色覚に関する項目を新たに追加され、
保護者への周知が図られるように改善されています。

「要再検査」を指摘されたら

  「要視力再検査」の用紙をもらったら、一度眼科での検査をお勧めします。
学校健診では、視力低下の原因が、近視か遠視か乱視か病気によるものかは
わかりません。また、眼鏡が必要かどうかもわかりません。
仮性近視であれば、点眼治療で視力が回復する可能性があります。
 「眼疾病の受診勧告」をもらった場合も、眼科を受診してください。
学校健診の際には行なえない精密検査で、治療が必要な状態かどうかなど、
より詳しい説明をさせていただきます。
2016.3.26 記