北海道医報
院長 今野 優 医学博士
昭和38年9月11日 生
平成元年 5月医師免許(第321523号)
平成 8年 9月旭川医科大学学位記(第240号)
平成 8年10月日本眼科学会眼科専門医(第8303号)
2011年 1月 北海道医報第1108号に新春随想が掲載されました。

君の名は

旭川市医師会
こんの優眼科クリニック
今野 優


 新年あけましておめでとうございます。
本年もご指導ご鞭撻のほど何とぞよろしくお願い申し上げます。

 申し遅れました。私、旭川で開業しております今野優でございます。

 私のことを知らないほとんどの方は「フーン」という感じで、
左目から右目に受け流していたことと思います(古いかっ)。

 旭川市医師会、眼科医会の方は「へエー、48歳になるんだね」と
いった感じでしょうか。

 しかし、「エッ」と違和感をお持ちになった方もいらっしゃると
思います。


 『今野優』という名前の先生が北海道医師会にもう一人
いらっしゃるのです。
同姓同名とは、「姓名が同じ読みでかつ同じ表記であること」と
定義されているようですから、厳密には同姓同名ではないのですが、
書面上では区別がつきません。
私の名の読みは「すぐる」で、もう一人の先生は「まさる」です。

 手元にある平成21年発行の北海道医師会の会員名簿をひもといて
みますと、会員数8412名中、「今野」姓は12名、「優」名は
たった3名です。確率の計算ができる話ではないので、あくまでも
何となくではありますが、もの凄い偶然だなと考えます。
ちなみに会員名簿で書面上の同姓同名の方々を39ペア見つけました。
スリーカードも1組見つけました…。

 ちなみに、昨今のネット世界では、自分と同じ名前の医師が
他にいるか調べることができます。厚生労働省の医師等資格確認検索
というページで、自分の名前を入れますと、医籍登録年が表示されると
いうシステムです。『今野優』という名前の医師は、我々2名のみでした。
このシステムは、もちろん同姓同名検索なんていう脳天気な理由のために
作られた訳ではなく、患者さんが我々を偽医者ではないか、行政処分により
医業停止中ではないかと疑った時に、サックリ調べるために作られていると
いう点が悲しくなりますが。

 私の名の(すぐる)という読み方は、なかなか読んでもらえず、
(まさる)と読まれるほうが多いようです。子供の頃は(すぐる)という
名前自体があまり多くなかったのではないかとも思います。
1973年春の甲子園大会に作新学院の江川卓さんが出場し、大活躍を
してくれたおかげで、漢字は違いながらも(すぐる)という名の市民権が
確立されたのではないかと感謝したものです。

 私が大学に入学した1982年に早見優さんがデビューしてから、
「優」の名に異変が生じてきました。いつの間にか、女性の名前に
なってきたようです。以前は元日銀総裁の速水優(まさる)さん、
元外交官の佐藤優(まさる)さんなど男性の名前だったと思いますが、
最近の芸能人では、山田優(ゆう)さん、蒼井優(ゆう)さん、
あびる優(ゆう)さんと女性の名前になり、かろうじて城田優(ゆう)
さんが男性です。名前にもその時代のトレンドがあるようです。

 私の診療所には「こんの優眼科クリニック」と名付けました。
人の名前にもトレンドがあるように、診療所の名前にもトレンドが
あるはずです。そこで旭川の診療所の名前のトレンドを調べてみました。
ネタ本は平成21年発行の旭川市医師会の会員名簿と、ひとまわり昔の
平成9年の名簿です。

 旭川の診療所は、この12年間で200機関から214機関に増えました。
診療所の名前に「医院」がついているところは、132から90へと減少し、
「クリニック」のついているところが、54から104へと倍増していました。
診療所の名前に「診療所」がついているところは2機関で変わらず、
「医院・クリニック・診療所」のどれもついていない機関が12から18に
増えていました。診療所の名前は、開設者の名字、診療所のある地域名、
診療科目などの組み合わせに、上記の「医院・クリニック・診療所・なし」の
コンビネーションから成っています。「開設者の名字+診療科目+医院」が
平成9年95機関、平成21年69機関で一番多く見られた組み合わせで、
トップの座を守っていました。

 この12年間に旭川の眼科診療所は13から17機関に増加しました。
総合病院4機関に元々眼科があり、この間に新たに4病院に眼科が開設され、
他に3つのコンタクトレンズ眼科診療所がありますので、激戦区に
なっていると思います。話がそれてしまいましたが、旭川の眼科診療所の
名前は「池田眼科医院」のように「開設者の名字+診療科目+医院」が
大半でした。この12年間に新設された5つの眼科のうち、私の診療所
以外の4機関は、「東光眼科」「環状通り眼科」「あさひ眼科」
「やまぐち眼科」ですので、眼科の中ではどうやら「医院・クリニック・
診療所」のどれもつけないのがトレンドのようです。

 診療所の数が増えてきますと、開設者の名前がかぶることもあり、
また同じ地域に既存の診療所があると地域名をつけることもできず、
よりユニークな名前を考えなければならないと思います。これからは、
どんな名前の診療所ができるのか楽しみではあるのですが、これ以上
増えると楽しんでいられないというのが本音です。何はともあれ、
今年が佳い年でありますことを、心よりお祈り申し上げます。
2011.1.1 記