彼女が診察室に入ったら
院長 今野 優 医学博士
昭和38年9月11日 生
平成元年 5月医師免許(第321523号)
平成 8年 9月旭川医科大学学位記(第240号)
平成 8年10月日本眼科学会眼科専門医(第8303号)
2011年 8月 グラフ旭川9月号市民の健康ガイドに
「彼女が診察室に入ったら」が掲載されました。

1.はじめに

 今年の6月号の市民の健康ガイドに「私をスキーに連れてって」の
パロディで「私を眼科に連れてって」というお話を掲載していただきました。

そこで今回は「彼女が水着にきがえたら」のパロディで「彼女が診察室に
入ったら」というタイトルで、眼科診察室で行われる検査についての
お話をさせていただきます。

2.細隙灯顕微鏡検査

 まず最初に、これは細隙灯顕微鏡で写した右目の写真です。

 瞳を大きくする目薬を入れた後に撮りましたので、瞳(瞳孔)が大きく
広がっています。細隙灯という細い光を左側から照らしていますので、
C のような光の筋となっているのが、透明な角膜からの反射です。
瞳の中にピント合わせの働きをしてくれているレンズ(水晶体)が
見えます。この水晶体が白く濁ってくるのが白内障です。

 細隙灯顕微鏡検査では、観察倍率や焦点を合わせる部位を変えることに
よって、まぶた(眼瞼・マイボーム腺・涙点)、まつ毛(睫毛)、
黒目(角膜・前房・水晶体)、茶目(虹彩)、白目(結膜・強膜)
だけでなく、検査用レンズを使うと目の奥(硝子体・網膜・視神経)
までを立体的に診察することができます。

 この検査は眼科の検査の中でも非常に重要なもので、通常、診察の都度
行われます。内科医にとっての聴診器のように、細隙灯顕微鏡は眼科医には
大切な検査器械です。

3.細隙灯顕微鏡検査のオプション検査

(1)生体染色顕微鏡検査

 異物が入ったり、逆さまつげが当たったり、涙の量が減っている
ドライアイという病気によって、黒目の表面の角膜に傷がつくことが
あります。角膜は身体の中でも最も敏感な部位と考えられ、少しの傷でも
強い痛みを生じます。透明な角膜についた小さな傷は、色素をつけ、
特殊なフィルターを通して観察することによって、見落とすことは
ありません。また、ドライアイでは涙の量が減っているだけでなく、
涙が蒸発しやすい状態になる質の異常を伴うことがあります。
角膜を染めた後、瞬きを我慢してもらい、涙の表面の膜(涙膜)が
破れる時間を計ることによって、涙の質を定量的に判断することも
できるのです。

(2)ゴールドマン眼圧計

 点眼麻酔をした後、細隙灯顕微鏡に付属した器械を直接角膜に
触れさせることによって、目の硬さ(眼圧)を測定することができます。

(3)隅角検査

 前房と呼ばれる角膜と虹彩?水晶体で囲まれる目の中のスペースが
狭い場合、また緑内障と診断した場合は、特殊なコンタクトレンズを
目に装着し、目の中で房水(眼内組織に栄養を運搬する液体)が
流れ出て行く経路が開いているか、つまっているかを検査することや、
その部位の異常がないかを調べることが可能です。


4.細隙灯顕微鏡検査の上手な受け方

 患者さんは器械の前に座り、あごを台に載せ額を固定します。
多少まぶしい感じはありますが、額を離さないよう軽く前のめりになる
感じで、まっすぐ見ていただきたいと思います。その後、診たい方向に
目を動かすように指示がでますので、指示に従って目だけを動かして
ください。それほど長い時間はかからないと思います。

5.眼底検査

 これは、眼底カメラで写した右目の眼底写真です。

 丸くお月様のように見えるのが、視神経乳頭と言って、目の神経が
脳へと伝わっていく出口です。その中を通って、心臓から目に血液を
送る動脈(細いほうの血管)と、帰り道の静脈(太いほうの血管)が
走っています。中央の少し暗く見える部分が、黄斑と言って
視力にかかわる最も重要なところです。

 手持ち式検眼鏡もしくは額帯式検眼鏡と集光レンズを用いる
倒像眼底検査が一般的です。そのままの状態でも眼底検査することは
可能ですが、瞳を開く目薬をさして30分ほどしてから行う精密眼底検査では、
網膜の端まで観察することができます。目の前に黒いものが飛んでいる
ように見える飛蚊症のときなどは、精密眼底検査が必要です。

 眼底検査により、硝子体混濁の検出、視神経乳頭の評価、黄斑部を
含んだ網膜および血管の変化の検索が可能です。


6.眼底検査の上手な受け方

 検査自体は少しまぶしいくらいで、痛くない検査です。
目の中を360度端まで診るためには、患者さんに目を動かしてもらう
必要があります。この時も顔は動かさずに目だけを指示の通りに
動かしてください。目薬をさした場合は、検査後も3〜4時間
瞳がひろがっているため、見づらくなりますので、なるべく自分で
運転せずに来院してください。

7.おわりに

 検査室で行われる細隙灯顕微鏡検査と眼底検査は、眼科の基本診察です。
怖くない検査ですので、安心して検査を受けてください。

2011.8.25 記