やさしい眼科通信
院長 今野 優 医学博士
昭和38年9月11日 生
平成元年 5月医師免許(第321523号)
平成 8年 9月旭川医科大学学位記(第240号)
平成 8年10月日本眼科学会眼科専門医(第8303号)
2011年8月号
第5回 赤ちゃんの目の病気

長引く目やにには要注意

 先月号まで、眼科の検査についてお話させていただきましたので、
これからは目の病気について説明します。目の病気は色々ありますので、
赤ちゃんから高齢の方まで、眼科には幅広い年齢層の患者さんが
受診に訪れます。そこで、まず赤ちゃんによくみられる病気についての
お話を。


赤ちゃんの目やに

 赤ちゃんの目で、最初に気になることが多いのは目やにだと思います。
目やにの多くは、一時的なもので心配のないことが多いのですが、
片目だけ目やにが多く、またなかなか治らない場合は、
先天性鼻涙管閉塞症による新生児涙嚢炎が疑われます。


涙の通り道について

 先天性鼻涙管閉塞症の説明の前に、涙の通り道についてお話させて
いただきます。

 涙は上まぶたの外側にある涙腺(るいせん)という場所で作られます。
分泌された涙は目の表面を濡らした後、目頭の上下にある小さな穴
(涙点)に吸い込まれ、細い管(涙小管)を通って涙嚢(るいのう)と
呼ばれる涙のふくろにたまり、さらに鼻涙管を通って、鼻の奥に
抜けていきます。これを涙の道、涙道といいます。


先天性鼻涙管閉塞症

 赤ちゃんの鼻涙管の出口に生まれつき膜が張っていることが、
先天性鼻涙管閉塞症の原因です。膜のために、涙が鼻の奥に抜けないので、
涙目になります。また、涙の流れも滞りますので、そこにばい菌が繁殖し、
目やにが出るようになります。

 まずはお母さんに、涙嚢部マッサージとばい菌止めの目薬を指導します。
軽く目頭の下の涙嚢部をマッサージすることによって、そこにたまっている
涙と目やにを押し出してから、ばい菌止めの目薬をさします。
生後7ヵ月くらいまでは、この治療で様子を見るようにしています。
それでも症状が治らない場合は、鼻涙管開放術といってブジーと
呼ばれる細い棒を涙道に通して、膜を破る治療を行うことになります。

 マッサージと点眼で自然に治る場合があること、7ヵ月以上になって
しまうと、赤ちゃんを抑えて処置することが難しいこと、7ヵ月くらい
までは、感染に対する抵抗力が弱いので早期の手術はお勧めできない
ことが7ヵ月まで待つ理由です。

 しかし、赤ちゃんによって体の大きさが異なりますので、
体格のよい赤ちゃんの場合は、抑えることが出来るうちにと考えて、
生後6ヵ月で手術を行う場合もあります。これは、抑えられない場合は
全身麻酔で行わなければならないことになってしまうので、
それであれば、早めにと考えて行う場合があるということになります。


下眼瞼睫毛内反症

 赤ちゃんの下まぶたのまつ毛は、黒目に触っていることがよくあります。
赤ちゃんの顔はぽっちゃりしていて、まぶたが膨らんでいることが
多いので、まつ毛が黒目に触りやすいのです。幸いに赤ちゃんのまつ毛は、
とても柔らかいので黒目に触っていても、特に問題を起こさないことが
多いのです。また成長とともに、まつ毛は次第に外をむいて来て、
黒目に触れなくなってきます。多くは4〜5歳になって顔が引き締まって
くるにつれて、自然に治ってくることが多いのです。まつ毛が黒目に
当たることによって傷がつくと、目やにがでたり、涙目になったり、
白目が赤くなったり、外に出るとまぶしがったりするような症状を
起こします。目薬を使っても症状を繰り返したり、4〜5歳を過ぎても
全く治らない場合は、全身麻酔での手術を相談することになります。

 赤ちゃんの目やには、結膜炎が原因のことが最も多いのですが、
先天性鼻涙管閉塞症や下眼瞼内反症が原因で、なかなか自然には
治らないこともあります。ただの目やにと考えずに、長引いたり
繰り返したりする時は、眼科に連れて来てください。

2011.8.27 記