健康のはなし
院長 今野 優 医学博士
昭和38年9月11日 生
平成元年 5月医師免許(第321523号)
平成 8年 9月旭川医科大学学位記(第240号)
平成 8年10月日本眼科学会眼科専門医(第8303号)
2007年9月18日 健康のはなし

パソコンやテレビに囲まれ、目を酷使しがちな現在社会。
日ごろから目の疲れを感じている方も多いのではないでしょうか?
10月10日は「目の愛護デー」。あなたの目は健康ですか?

専門医にお聞きしました

目の病気は、早期治療が大切なものが多いにも関わらず、
なかなか自覚症状を感じにくいため、「おかしい」と思って
専門医にかかった時には、かなり病状が進んでいるケースも
少なくありません。早期発見のためには、時々目の健康状態を
チェックすることが大切です。

目の専門医、こんの優眼科クリニック(曙1条6丁目2-1、
電話25-8341)院長の今野優先生にお話をお伺いします。


Q:最近日本人に増えているといわれる「加齢黄斑変性」とは
どんな病気なのでしょうか?
A:目の一番奥には、目の中に入ってきた光が像を結び、
物を見たり色を感じたり形を把握したりする網膜があります。
物を見るためにもっとも重要な部分であり、カメラでいうと
フィルムの部分です。網膜の中でも、一番感度の高い
中心部分が「黄斑」で、ここに出血やむくみができて
見え方に異常が出るのが「加齢黄斑変性」です。原因は
はっきりとはわかっていませんが、加齢による網膜の
老化現象と考えられています。

Q:どんな症状が出るのでしょうか?
A:最初の症状は、ものがゆがんで見えます。例えば「カレンダーの
線が波打って見える」とか、「まんなかの線がちょっとうすく
見える」ようになります。黄斑は非常に繊細なところなので、
ちょっとの異常で症状は出てきます、ただ目の病気全般に言える
ことですが、両目で見ていると、良い方の目が病気の目の視力を
補ってしまうため、片方の視力の異常をなかなか自覚できず、
発見が遅れる原因になります。目の病気の早期発見のためには、
時々片目をつぶってみて、右でも左でもおなじように見えているか
どうかをチェックすることが大切です。

Q:治療はどのように行われるのですか?
A:網膜の下にあって見え方に異常を起こす新生血管の部位や大きさ
などから、治療方法を決定していきます。腕の静脈に色素を注射し、
その色素が心臓から眼球の網膜に送り出されてくる状態を見て、
新生血管がどこにあって、どのくらい広がっているのかを調べます。
治療の対象になる血管が網膜の中心以外にある場合には、レーザー治療
で焼きつぶします。

最近では、平成16年に認可された「光線力学的療法(PDT)」という
治療法が主流になってきました。これは、健康な組織を破壊しないように、
特別な色素を注射で体に入れ、黄斑に色素がきたときに色素に感度のある
レーザーを照射することによって、それまでは治療の難しかった、
中心部にある新生血管だけを効果的に焼きつぶす治療法です。

病気が進んでからでは、治療をしてもなかなか視力が戻らないので、
早期発見、早期治療が大切な病気です。

Q:「緑内障」は日本人の失明原因の1位といわれていますが?
A:緑内障は、視神経が侵されて視野が狭くなる病気です。
以前は「眼圧が高い」というのが原因とされてきましたが、
最近では、眼圧は正常なのに緑内障になる「正常眼圧緑内障」
も多くなっています。

緑内障はよほど進まないと自覚症状がない方が多く、
人間ドックや、何らかのほかの病気で眼下にかかって眼底検査を
受けて発見されることが多い病気で、40歳以上の日本人の
17人に1人が緑内障といわれています。

最初は見えない場所が一部分だけで、両方の目で見ていると
気付きにくく、進んでくると視野が狭くなり、特にまんなかのすぐ近く
が見えにくくなります。遠近感がいかしくなるため、お茶を入れる
ときにこぼしてしまうといったことがあります。

緑内障の怖いところは、自覚症状がほとんどなく、知らないうちに
病気が進行している点です。放置すると失明の危険があるので、
やはり早期発見、早期治療が大切です。

Q:治療法は?
A:基本的には、眼圧を下げる目薬による点眼治療です。現段階では、
いったん障害された視神経は、治療をしても元には戻らないので、
視野狭窄が広がらなければ、一応治療は成功とされています。
まれに目薬で眼圧が下がらない場合は、手術療法もあります。

Q:高齢者に多い「白内障」とは?
A:目の中で、ピントあわせの役割をする「水晶体」がだんだん
濁ってくるのが白内障です。糖尿病などが原因のものもありますが、
一般的には加齢が原因で、髪の毛が白くなるように、誰でもなる
病気です。目の中に濁ったレンズがある状態なので、常時目がかすんだ
状態になります。

Q:治療法は?
A:白内障になっても、本人が生活に不自由を感じなければ、
すぐに治療が必要というわけではありません。患者さんの
ライフスタイルによって、「その人が困ったら」というのを
基本に考えていきます。ひとつの目安として、車の運転をする方は
視力が0.7を切ったら手術を検討するようにお勧めしています。

白内障の場合、手術が根本的な治療法になります。角膜の縁を
3ミリほど切開し、濁った水晶体を超音波で砕いて取り除き、
代わりに眼内レンズ(人工水晶体)を埋め込むことによって
視力を取り戻すことができます。局所麻酔で行われ、安全性が高く、
片目15分ほどでできるため、手術は日帰りでもできますが、
感染症が一番怖いので、自宅療養の場合には、目をこすったり
ぶつけたりといったことのないように、アフターケアに十分気を
つけましょう。


Q:子どもの「近視」も増えているようですが?
A:お子さんの近視は、少しずつ進むため、本人には視力が下がった
という自覚がなく、学校の検診結果を見て気付くことが多いようです。
近視だけが原因ではなく、仮性近視、遠視、乱視などが原因の場合も
あるので、学校からのお知らせがあったら、一度専門医の検査を
受けることをおすすめします。


疲れを感じたら休息を

私たちの目をとりまく環境は過酷です。病気による視力の低下
ばかりではなく、「眼精疲労」から、目がしょぼしょぼしたり、
赤くなったりする以外にも、頭痛や肩こりに悩む方も増えています。
目が疲れたなと感じたら、適度に休息をとったり、眼鏡の度が
あっているかどうか、確認してみることも大切です。

市販の目薬は刺激の強い成分が入っていたり、充血をとるために、
血管を収縮させる成分が入っているものが多く、逆に目が赤く
なったり、防腐剤によるアレルギーが起こることもあり、
使い過ぎはよくありません。

視力は日常生活を送るときにとても重要なもの。異常を感じたら、
早めに眼科医の元で、病気が隠れていないかの検査を受け、
大切な目を守りましょう。

2007.9.18 記