涙目
院長 今野 優 医学博士
昭和38年9月11日 生
平成元年 5月医師免許(第321523号)
平成 8年 9月旭川医科大学学位記(第240号)
平成 8年10月日本眼科学会眼科専門医(第8303号)
涙目
「涙目」についてのお話です。

いなかっぺ大将

涙目のキャラクターで思い出すのは、「いなかっぺ大将」の
主人公「風 大左エ門」ですよねえ。

と言っても、同意は得られそうにありませんが・・・。

大ちゃんは、つらい目、悲しい目に合うと大きい涙を目からぶら下げて
「どぼちて、どぼちて(どうして、どうして)」と言ってました。

「いなかっぺ大将」は、川崎のぼる氏の作品ですが、
川崎氏には「巨人の星」という大出世作があります。
主人公「星 飛雄馬」は、気合が入る場面では必ず瞳の中が燃えていました。

やはり目は口ほどに物を言うためか、漫画では目を使っての表現が
重要だと思います。

閑話休題、涙目のお話を・・・。


涙って

涙目のお話の前に、涙について説明させてください。

涙は上まぶたの外側にある涙腺(るいせん)という場所で作られます。

涙といいますと、大ちゃんのように悲しい時に出る涙をすぐに
思い浮かべますが、目にゴミが入った時やタマネギをきざんだ時にも
たくさん出ますし、アクビをしても出ますよね。
それ以外に重要な涙は、意外にも出ていることを意識させない、
気がつかないうちに出ている涙なのです。

この気がつかないうちに出ている涙は、1日分溜めたとしても
0.6〜1ml とのことですから、1年分溜めたとしても220〜365ml です。
コーラの細い缶から太い缶くらいにしか溜まらないことになります。

気がつかないうちに出ている涙を基礎分泌といいます。


涙の分泌

涙の分泌を刺激する神経は、角膜の知覚を司る三叉神経と、
自律神経である副交感神経と交感神経の3種です。

目にゴミが入った時やタマネギをきざんだ時などの
反射性分泌は三叉神経、
悲しい時などの感情的な涙の分泌は副交感神経、
基礎分泌には交感神経が作用しています。


涙の通り道

分泌された涙は目の表面を濡らした後、目頭の上下にある小さな穴
(涙点)に吸い込まれ、細い管(涙小管)を通って涙嚢(るいのう)と
呼ばれる涙のふくろに溜まり、さらに鼻涙管を通って、鼻の奥に
抜けていきます。
これを涙の道、涙道といいます。


涙目

いよいよ涙目のお話に入ります。

涙があふれるという訴えを流涙症(りゅうるいしょう)と言いますが、
涙がたくさん作られすぎているか、涙の通り道に異常があり、うまく流れて
いないかの判断をします。

涙の分泌が増加する原因としまして、目の表面の異物、逆まつ毛、
角膜・結膜の感染症・アレルギー反応、疲れ目、外気、感情などの他、
ドライアイが原因となる場合もあります。

次に、涙の通り道に異常のある場合としまして、まぶたや涙点の位置異常、
まばたきの異常、涙嚢・涙小管の感染症、外傷によるものもありますが、
多くの場合は鼻涙管閉塞もしくは鼻涙管狭窄か、涙点の吸引力の減弱が
原因となっています。


涙目の検査

細隙灯顕微鏡検査(眼科で必ずする、アゴとおでこをつけて下さい、って
ヤツです)で涙の分泌が増加する原因がないことが確認されたら、
次には涙の通り道の検査にうつります。

この検査は眼科では「るいせん」と呼ばれています。
この「るいせん」は、涙腺ではなく、涙洗のことで涙嚢洗浄の略なのです。

検査のために行う涙洗は正式には涙管通水検査といいます。
涙点から細い管を入れて涙道に食塩水を通し、鼻からのどに水が通過するかを
調べるものです。水が通過せず逆流する場合は鼻涙管閉塞と診断できます。

この鼻涙管閉塞が、一般的に「るいせんがつまっている」と誤解されている
ようです。
おそらく、「るいせん」という検査で通過しないことから、
誤解されたのだと思います。


鼻涙管閉塞の治療

根治法としては、人工的に排出路を作る手術(涙嚢鼻腔吻合術)が
あります。涙嚢の横の骨を削って穴を開け、涙嚢と鼻をつなげると
いうものです。これは、かなり大掛かりな手術ですし、
当クリニックでは行っていません。
ご希望の方には病院を紹介させていただきます。

次善の策として、涙管シリコンチューブ留置術があります。
これは、涙点から鼻へシリコンチューブを通して閉塞部を拡げ、
3ヵ月くらい留置しておくことによって、再閉塞を防ぐという手術です。

涙嚢鼻腔吻合術のように皮膚を切開することもなく、
入院せず外来でできるという点で有利ですが、麻酔をしていても
チューブを通す時に痛みがあること、再閉塞がありうることが欠点です。

検査までは、まったく痛くありませんので、ご心配なく相談してください。

2004.10.1発行 優しい眼科クリニック第11号 に掲載するために執筆