仮性近視・近視
院長 今野 優 医学博士
昭和38年9月11日 生
平成元年 5月医師免許(第321523号)
平成 8年 9月旭川医科大学学位記(第240号)
平成 8年10月日本眼科学会眼科専門医(第8303号)
お子さんの学校検診・仮性近視・近視
眼科にとってはこの季節の風物詩でもあります「お子さんの学校検診・
仮性近視・近視」について、お話させていただこうと思います。

悲しい体験

優しい眼科通信第4号をお読みでない方に・・・
『小学校の視力検査で眼科に行くように言われ、気楽に行ってみたら、
「何故こんなになるまで放っておいたんだ」と眼科医に叱られ、その
帰りには、眼鏡をかけて悲しい気分だった、というのが私の小学校
5年生の春の体験です。』

私の記憶が正しければ、の話しですが・・・・小学校入学の時は、
両眼2.0、3年生で両眼1.5、4年生で両眼1.2でしたので、
視力には自信がありました。
自分では、目が見えにくいという感じは全く持っておりませんでした。
ところが、学校で視力検査を受けてみると、
「アレ下の方の字が全然見えない・・・」という感じでした。
「ウソでしょ?」という感じで、でた視力は、なんと両眼0.3。
そこで、眼科受診してください、という例の用紙をもらったわけです。

自分としては黒板の字も見えるし、日常生活で全然困っていないし、
という気持ちでしたが、その頃は、毎日長時間漫画ばっかり読んでいた
ものですから、何となく後ろめたい気持ちもあり、素直に眼科に
行くことになりました。

当時は十勝の陸別町(シバレるので有名な)に住んでおりましたので、
学校を休んで汽車に乗って、北見市の眼科(今はもう無くなっています)
に、生まれて初めて行きました。

その眼科は、待合室のベンチに座れないほど込んでいました。
そして、冒頭の眼科医に叱られて・・・ということになって
しまいました。


視力って

視力って揺らぐものなんですよね。一度の視力検査の結果が悪かった
としても、その日の体調、目の疲れ具合などによって、視力は変動します。
特に学校検診の時の、みんなが一列に並んで騒がしいような中で
検査した場合には、内気な子は視力が悪く出ることもあります。

また、少し目を細めただけで視力はすごく上がります。
視力の良いお子さんの視力は安定していることが多いのですが、
視力低下が始まった時期のお子さんの視力は特に揺らぎがみられます。

ですので、学校検診の視力の結果で一喜一憂せずに、ご心配でしたら
眼科での視力検査をお勧めします。

もちろん「何故こんなになるまで放っておいたんだ」と叱ったりは、
しませんので。


3・7・0方式
平成4年4月1日から学校保健法施行規則の一部が改正され、
学校検診の視力検査は、0.3、0.7、1.0の3指標で行うことになりました。

これは、0.3で教室の一番前から黒板の字が見える視力、
0.7で教室の一番後からでも黒板の字が見える、
1.0で健常視力の3つを基準としています。

視力が学業に影響を及ぼさないか調べるのに、合理的ですし、
お子さんの視力の揺らぎを考えましても、理にかなっている方法だと
思います。


学校検診で「要再検査」の用紙をもらったら、

やはり一度眼科での検査をお受けください。
学校検診では
(1)視力低下の原因が、近視か遠視か乱視か病気によるものかは
わかりません。
(2)眼鏡が必要かどうか、わかりません。
(3)仮性近視であれば、点眼治療で視力が回復する可能性があります。


仮性近視とは
近くの物をジッと見ていると、近くにピント合わせをするために
毛様体が緊張し、水晶体が厚くなります。長時間近くの物を見ていると、
毛様体が緊張を続け、近視と同じように遠くが見えにくい状態に
なってしまいます。

この状態が仮性近視ですが毛様体の緊張をほぐす点眼薬による検査で、
仮性近視の有無がわかります。視力低下の原因として仮性近視が
考えられる場合、毛様体の緊張をほぐす調節麻痺剤(ミドリンM)の
点眼治療を行います。薬が効いている間は、まぶしく近くが見えにくく
なります(瞳が大きくなるため)ので、寝る前に点眼してもらいます。
寝ている間に、目が遠くを見ているような状態にする目薬ですが、
夢がまぶしくなったり見えにくくなったりすることはありません。

お子さんの視力低下の場合に検査をしてみると、仮性近視の関与している
ケースは多く見られます。点眼薬で視力が回復する可能性もあるのです。
でも段々と身長が伸びてくる頃から、近視になってくることが、
日本人には多いようです。


仮性近視ではなく近視と言われたら
検査の結果、仮性近視ではなく近視と診断されたら残念ながら
点眼薬では視力回復できません。

それでは、すぐ眼鏡でしょうか。

親御さんのお気持ちとしては、
「なるべく眼鏡はかけさせたくない」
「これ以上視力を悪くさせたくない」
「なんとかならないか」
ということが多いと思います。

私はお子さんにとって重要なことは学校生活に支障がないかどうか、
ということだと思います。私もそうだったように、視力が低下して
いても、急な変化ではありませんので、不自由は感じないものです。
でも、黒板の字を読む時に、目を細めたり、他の子よりも時間を
かけて見ていた可能性があります。

やはり、両眼で0.3を切るようでしたら、そろそろ眼鏡と考えた方が
よろしいかと思います。
「眼鏡はかけさせたくない」というお気持ちの中には、
かけてしまったら近視が進むという誤解があるようです。
身長が伸びるのを止められないように、近視も徐々には進行して
しまいます。眼鏡をかけなくても近視は徐々に進むとお考え下さい。
一般的には身長の伸びが止まった後も近視は少し進み、20歳台後半に
止まるようです。


眼鏡かコンタクトレンズか
眼鏡が必要となってしまった時に、眼鏡かコンタクトレンズか、と考える
親御さんもいらっしゃいますが、コンタクトレンズをお考えでも
必ず眼鏡はお作りください。

眼鏡をお持ちでない場合、コンタクトレンズで角膜に傷がついて
しまった時などに、はずすと見えないということで、
無理してしまう方が多いからです。
大切な角膜を守るためにも、お家に帰ったらコンタクトレンズをはずし、
眼鏡をかけることを、お勧めしています。

眼鏡・コンタクトレンズにかぎらず、目について疑問がありましたら、
いつでも遠慮なくご質問ください。

2004.5.1発行 優しい眼科クリニック第6号 に掲載するために執筆