病診連携 2016
院長 今野 優 医学博士
昭和38年9月11日 生
平成元年 5月医師免許(第321523号)
平成 8年 9月旭川医科大学学位記(第240号)
平成 8年10月日本眼科学会眼科専門医(第8303号)
白内障手術の病診連携
当クリニックでは積極的に「日帰り白内障手術」に
取り組んでおります。
開業当時、旭川では2つの眼科クリニックで取り入れられている
だけでしたが、その後多くのクリニックでも行われるように
なってきています。

当クリニックは無床診療所なので、手術後に入院してもらう
ことができません。そこで、
全身疾患のある方や、
白内障が進行し小さい傷口からの手術が難しいと判断した場合、
手術を受けないほうの目の視力が極端に低い場合
(手術後一晩は眼帯をして片目で過ごしていただきますので)、
車椅子の方(申し訳ございませんが、手術室が2階なんです)、
また緊張しやすい方には、
入院して手術が受けられる施設に紹介させていただいております。

具体的には、
旭川赤十字病院
市立旭川病院
旭川医大
に紹介しております。

2005年から、当クリニックの病診連携の実態を調査してみました。
入院白内障手術をお願いした患者さんの数は
2005年7名
2006年26名
2007年41名
2008年35名
2009年40名
2010年59名
2011年73名
2012年53名
2013年58名
2014年55名
2015名72名
今年は10月末までに31名を数えています。

当クリニックでの日帰り白内障手術の件数は、
2003年36件
2004年166件
2005年215件
2006年219件
2007年219件
2008年211件
2009年197件
2010年154件
2011年187件
2012年209件
2013年192件
2014年212件
2015年200件
今年は10月末までに175件と
推移してきていますが、白内障手術を希望されて受診して
くださる患者さんが増えてきています。

「是非当クリニックで手術を受けたい」と仰っていただけることは
有難いことなのですが、身の丈以上のことはできないと
考えています。

その時は常に
「患者さんが自分だったら、自分の親だったら、どうするか」を考えて、
患者さんにとって最善の策をお勧めしたいと考えています。


白内障手術以外の病診連携

白内障にかぎらず当クリニックは「目のかかりつけ医」に
なることを目指しています。
目に関して何か心配なことがあれば、まず受診していただき、
当クリニックで対処できなければ、速やかに大学病院や
総合病院に紹介。そして、その後のフォローはまたここで、
という体制を整えています。

入院白内障手術以外で他院での診療を依頼して、紹介状を
書いた患者さんは
2005年39名
2006年75名
2007名123名
2008年133名
2009年162名
2010年123名
2011年119名
2012年158名
2013年158名
2014年91名
2015年140名
今年は10月末までに105名でした。

昨年の140名の内訳を調べてみますと、
1.網膜硝子体疾患で紹介:81名
2.形成外科に紹介:10名
3.脳神経外科、神経内科に紹介:20名
4.斜視弱視の治療で紹介:7名
5.旭川医大角膜外来に紹介:3名
6.その他:19名
でした。


1.網膜硝子体疾患で紹介させていただいた患者さんが
81名で半分以上を占めていました。
81名の患者さんは
加齢黄斑変性:28名
中心性網脈絡膜症:12名
糖尿病網膜症・黄斑症:10名
裂孔原性網膜剥離:13名
網膜前膜:4名
網膜血管閉塞症:10名
黄斑円孔:4名
でした。

何度か通信でもお話しさせていただいておりますが、
加齢黄斑変性は最近増えてきている「中心がみえにくくなる、
歪んで見える」病気です。
かつては治療の主流はレーザー光凝固でしたが、
病気の本態である脈絡膜新生血管をつぶす時に同時に、
正常網膜にもダメージを与えてしまうために、
黄斑の中央近くに新生血管がある場合は治療ができませんでした。
平成16年に光線力学的療法(PDT)が認可されました。
光線過敏物質を注射によって体内に入れて絡膜新生血管に
集まった時をめがけてレーザーを照射し、新生血管だけをつぶす
という方法です。

平成21年には血管新生を止める薬物が認可され、4〜6週おきに
眼球に直接注射することで、視力回復も望めるようになりました。
24年11月には2ヵ月毎に注射する新薬も承認されました。
加齢黄斑変性の治療には腕の血管から注射して脈絡膜新生血管の
状態を把握する蛍光眼底造影検査が必須です。
当クリニックでは行っていませんので、赤十字病院、医大病院に
紹介しています。

糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈分枝閉塞症に伴う黄斑浮腫も
加齢黄斑変性と同じ薬の眼球注射で改善することが判明し、
現在では治療の主流となり、視力回復が得られる可能性が
高くなって来ていることは患者さんにとって福音です。


また、増殖糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離は手術を受けて
いただかなければ失明につながる怖い病気です。
これらの手術は全身麻酔で行われることが多く、手術後の
厳重な安静も必要です。
裂孔原性網膜剥離は見つけたらなるべく早期の手術が望ましい
ので、すぐに紹介状を書いて、医大病院に行ってもらうことになります。

次に、2.形成外科に紹介した方が10名いらっしゃいました。
局所麻酔では辛いと思いますので、お子さんの下眼瞼内反症、
眼瞼下垂の手術をお願いしています。

瞼の出来物、いわゆる「ものもらい」は霰粒腫といいまして、
外来診察中に診察室の隣りの処置室で摘出術を行いますが、
霰粒腫以外の出来物は形成外科にお願いしています。
過去に紹介した患者さんの中には一見「ものまらい」の
ように見える出来物が悪性腫瘍であったこともありますので、
心配な症例は必ず病理診断が必要と考えて、紹介しています。


3.脳神経外科、神経内科に紹介となった方が20名
いらっしゃいました。
両方の目で物が二つに見える複視
(目を動かす筋肉を支配している脳神経の麻痺が心配です)、
顔面痙攣
(顔面神経を刺激している病気がないか調べてもらいます)、
一過性の視力低下
(目に病気が見つからない時は内頸動脈狭窄症の検査が必要です)、
頭痛
などの時は脳神経外科、神経内科で詳しく調べていただく
必要があると考えています。

旭川市には医大もあり、その他にも
赤十字病院
市立病院
厚生病院
旭川医療センター
など大きい病院があり、医療が充実しています。

「目のかかりつけ医」として、確実に診断し、大きい病院で
検査、治療が必要と考えた時には、時期を逸しないように、
また最良と思われる病院を紹介させていただきたいと思います。

また、他の眼科の先生の意見も聞いてみたいというセカンド
オピニオンを希望される場合には、しっかりと紹介状を
書きますので、遠慮なくお知らせ下さい。

2016.11.1発行 優しい眼科クリニック第156号 に掲載するために執筆